2007 年 2 月 21 日 のアーカイブ

黒龍騎士

2007/02/21 水

黒龍騎士 居候版

黒龍騎士 Lギャラリー版

初の女性人物作品でした。
居候の部屋第89回対決『ファンタジー対決 ―女性キャラ編―』で優勝。
Lシリーズギャラリーで殿堂入りを頂きました。
製作は想像を絶する持久戦で、3ヶ月くらいずっと作っていました。

当初はただの甲冑騎士(女)で顔を作る気なんて全く無かったんですが、
居候の部屋の対決までにかなり時間が余ってしまいそうだったので、血の涙を流しながら顔を作りました。

精霊から生まれたんだよ

原型はモンスター対決用に作ってボツった精霊風のキャラ(予定)です。
モンスター対決が人型NGになってしまい闇に葬られていました。

ここから作ったので第一版はただの胸の大きい鉄仮面の男でした。
ガタイが良すぎる上に女性的な記号が皆無、特に二の腕がごつい!
甲冑で顔を完全に隠すつもりだったので陰をかなり暗くしています。
西欧ファンタジーっぽい質感にもなって一石二鳥かなとか考えていました。

テクニック的にはかなり色々と新しい表現を試してみたつもりです。

衣服のように体の形に張った布でなく、ひらひらとした布を表現する為にバンプマップと実曲面を使って頑張ってみました。
パーツの選択がかなりシビアで大変でしたが、概ね上手く行ったと思います。
もっと本気で自由にやるならメタセコとか、外部モデラーになりそうですね。

他にはデカール機能を使った衣服の模様、刺青表現。
丁度この頃新機能として登場したデカールを使ってみました。
作画が重いですが、テクスチャの位置合わせの手間が省けるのはかなり嬉しかったです。
もっと軽くてデカールを落とすパーツを仕分けできたらもっと使えるんですけど。
あと、この頃の仕様ではデカールにアンチエイリアスがかからないのもちょっと…

後はバンプマップとモデリングディティールによるレリーフ製作の比較をしました。

バンプマップと実モデリング

剣は実際にモデリング、鎧は同様のディティールのバンプマップによる表現です。
処理自体は実モデリングの方が重く、陰影も若干きつくなります。
モデリングデータからZ出力でバンプマップを作る場合は、
曲面パーツを沢山使って作った方が法線方向が散るので見栄えがします。

当初は全く造る予定なんかなかったのに、いざやってみたら一版労力を注ぎ込んだのが顔です。
鉄兜だけだと女性的な記号が皆無なので兜を外した絵も作ることにしました。
ムービーでたまに白く飛んだ画像があるのは陰の不具合探しの為です。

まずは髪の毛だけ作ってそっぽを向かせて誤魔化すと言う、逃げの姿勢で作るも
「これじゃ意味ないよなぁ」と言う事で顔を作ることに。

最初に徹底的にメイク、化粧の勉強をしました。
お化粧の話は長くなるので別のエントリーで書きます。

DoGA純正の顔部品を使うも、空気で膨らます人工嫁にしか見えません。
特に口がマジックペンで書いたみたいで酷い。3Dなのに立体感がない!
仕方ないので口をモデリングしました。
ただ赤くしたチューブを貼り付けるだけではただのたらこ唇にしかならないので、
デカールで半分だけ色を塗って、残り半分はあごや鼻の肌になめらかに繋がるようにパーツを重ねました。
質感を細かく調整して変な陰影が付かないようにすると滑らかに繋がっているように見えます。
同時に、カメラや光源を動かすと顔が崩れることになるので、
大まかな光源位置やカメラアングルはこのときにもう決めておかなくてはいけません。

思いのほか唇がリアルに出来てしまい、鼻がただの棒なのは不自然なので前代未聞の小鼻モデリングをすることに。
鼻は陰影がきつくなりすぎず、主張し過ぎない程度にしつつ、しっかりディティールを加える微妙なバランスを目指してみました。

思いのほか鼻もリアルに出来てしまい、目が死んでいるように見えるので目もきちんとモデリングすることに。
目はテクスチャで穴を開けて眼球を中に入れています。
隙間が見えないように粘膜の部分もしっかり作って裏蓋をしています。
目の表面部にまつげをモデリング、アイシャドウや二重の表現はテクスチャやバンプマップを使いました。
お化粧類は殆どテクスチャです。
眼球に光沢が出るように反射用マッピング画像を作って映りこませたりしています。

髪の毛や肌など、一見光沢が無さそうな質感にも微妙に光沢を載せることで表現力が格段に上がります。
今回の髪の毛はかなり上手く行ったと思います。

しかしやはり一番の問題点は光源やカメラを動かすと途端に顔が崩壊することで、
鼻や唇の周りは継ぎ目を消す為にわざと影を明るくしている為、暗闇で鼻が光ったりします。

おまけ

アイパッチ
龍が無ければただの騎士
ヤッチマイナ
何か背景とか
目の光沢忘れ

最近のレンダリング設定で焼きなおした物。アップにすると結構細かい所が破綻してます。

ほっぺテクスチャはたとるさん製

側頭部がはげてます。

顔の法則

2007/02/21 水

ここのエントリーでは話を進める為に、主観的な判断と客観的事実を混同して書いています。
あくまでもこの先で述べる内容はおいらの価値観で見た話ですので、この通りに実践して不利益が生じても一切責任は負えませんのであしからず。

人の顔の話

これは何の絵?

これは何の絵ですかと聞くと、「顔」に関係する物を答える人が結構沢山いると思います。
実際、ただ楕円が4つ書かれただけで、目、口、輪郭になっているそれぞれの楕円は、
その円だけに注目してみても、それが目や口であると言う事はその円だけからはわかりません。
つまり、それが明確に目や口であると言うことを示していなくても、
相対的な位置関係だけでこの絵は顔と認識できてしまいます。

人が何かを見る時、無意識に顔を探していると言われています。
心霊写真等の多くは、意味のない陰影や反射像の中から、
相対的な位置関係が、上のように顔と近い箇所を無意識のうちに探し出して顔が映っていると認識してしまうと言われています。

従って、顔に見えるものを作ること自体は大して難しくありません。

美しさの定義

しかし、顔は顔でも醜い顔と美しい顔が有ります。
残念ながら、この美しい顔には明確な正解が存在し、その顔からどれくらいかけ離れているかで醜いと言う評価が決まります。

生物的な話になりますが、自然淘汰の観点から強い遺伝子ほど固体数が増えます。
つまりその時代その地域で個体数の多い遺伝子はその環境に適応した遺伝子と言えます。
従って生存本能から、よりその環境での平均に近い固体をパートナーに選ぼうとする傾向があります。

何が言いたいのかというと、生物学的にも平均顔は美しいと感じるように出来ていると言う事です。
しかしながら、完全な平均顔は、多くの顔よりも美人ですが、その集団の中で一番美人と言うわけではありません。
平均的でどこかで見たことのある顔でありながら、一度も見たことのないインパクトが有って初めて記憶に残る美人が完成します。
そのインパクトをどこに集めるかは時代によって変わります。一般的に現代では目にインパクトを集約することが多いです。
従って、地域と時代(=環境)を一意に定めれば美しい顔も一意に定まると言えます。

女性が一般的に行う化粧も、自分の顔をその正解の顔に近似する作業であると言えます。
従って、スッピンの顔が既に正解の顔に限りなく近い人はあまり化粧をする必要がありません。
正解顔からの差分が大きい部分を埋める為に化粧が必要になります。

CGへの具体的応用

CGの顔の場合は元が整いすぎている為に、整える(美しくするために不要なディティールを削る)作業と、
崩す(リアリティを出す為にディティールを加える)作業とのトレードオフを考える必要があります。
両立させる為には大まかに見ると整っているが、非常に細かい部分で微妙に崩す等のテクニックを必要とします。

ここからは一つ一つ細かく理由を挙げるとキリがないので箇条書きで省略します。
現代日本を基準としますが、最近では欧米人の顔もTVやネットで見る機会が多いため、
美人像も完全な日本人平均から欧米側に若干ずれています。

現代日本版美人フィルター

大まかな特徴

  • 顔の部品の位置構成が平均的。
  • 鼻はあまり印象に残らない。
  • 目が印象的。
  • 肌のきめが細かくなめらか。

大まかな特徴を満たす為の具体的条件

  • 目が大きい(切れ長orパッチリ)
  • まつげが長い
  • 若干堀が深い(日本人の顔が平坦すぎる為)
  • ほぼ左右対称の構成(インパクトを作る為に意図的に若干崩すことも可)
  • 小さすぎず、大きすぎず、いびつでない鼻
  • 小鼻などがすっきりしてディティールの少ない鼻(あまり強く印象に残らない程度に)

化粧による条件確保手法

  • 黄金比を取り入れた顔面構成にする
  • 上まぶたにアイシャドウ、下まぶたにハイライトを入れて擬似的に目に立体感を出す。
  • アイシャドウは目じりに行くほど広くぼかす
  • 下まぶたの目じりから1/3まではアイシャドウを入れる。
  • まつげをつけ足し、立ち上げる。
  • 鼻スジにハイライト頬にチークを入れて顔全体の立体感と色彩を整える
  • 不要な凸凹を出来るだけなくす。
  • リップとチークは色を合わせる

特に重要なのが黄金比の顔面バランスです。
美容整形などについて詳しく解説しているサイトが沢山あります。
さらに、CG特有の作業として若干整っている状態から崩す作業があります。
完全な左右対称を微妙に崩す、肌にノイズを加える等、実際の美化行程にはない作業を加えることで、
CGっぽい顔を出来るだけ避けたほうが良いです。

この話題は本当にキリがないので、今回はこのあたりにしておきます。